補中益気湯を飲み始めたとき、「どんな副作用が出ることがあるのか」「飲み続けて体に問題はないか」と気になりますよね。
補中益気湯でみられる副作用としては、下記のような症状が知られています。
■主な効果・効能
虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒
■主な副作用
発疹・発赤、かゆみ、胃部不快感、食欲不振、下痢
■重大な副作用
- 間質性肺炎
- 息切れがする・息苦しくなる、空せき、発熱等
- 偽アルドステロン症(頻度不明)
- 低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加など
- ミオパチー(頻度不明)
- 脱力感、四肢痙攣・麻痺などの異常
- 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
- AST、ALT、Al-P、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸
この記事では、補中益気湯で起こりうる副作用を「よく見られるもの」と「頻度は低いが注意が必要なもの」に分けて整理します。
補中益気湯で起こりうる副作用の症状

補中益気湯の副作用は、「服用初期にみられることがある消化器症状」と「頻度は高くないものの注意したい重大な副作用」に大きく分けられます。
| 症状の種類 | 主な症状の例 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 消化器症状(軽度) | 胃もたれ・軽い下痢・食欲不振 | 1〜2週間様子を見て、 改善しなければ相談 |
| 偽アルドステロン症 | むくみ・血圧上昇・体重増加・筋力低下 | 症状に気づいたら早めに医師へ相談 |
| 間質性肺炎 | 乾いたせき・息切れ・発熱 | 服用を中止し、速やかに医療機関へ |
| 肝機能障害 | 強い倦怠感・黄疸・著しい食欲低下 | 服用を中止し、速やかに医療機関へ |
それぞれの特徴を知っておくと、症状が出たときに「様子を見てよいか」「すぐ受診すべきか」の判断がしやすくなります。
軽い副作用:消化器症状(胃もたれ・食欲不振・下痢)
服用開始後しばらくの間、胃もたれや軽い食欲不振、下痢などの消化器症状がみられることがあります。
これらは体が処方に慣れていない時期にみられることがあり、継続するうちに落ち着く場合もあります。
ただし、症状が強い場合や1〜2週間以上続く場合は、薬剤師や医師に相談することをおすすめします。
重大な副作用①:偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇)

補中益気湯には甘草が含まれており、長期服用や甘草を含む他の漢方薬との併用により、偽アルドステロン症が起こることがあります。
手足のむくみ、血圧の上昇、体重増加、筋力低下(ミオパチー)などが主な症状です。
高血圧の方や、他に甘草含有製剤を服用中の方は特に注意が必要です。
気になる症状があれば、自己判断で服用を続けず、早めに医師へ相談してください。
重大な副作用②:間質性肺炎(せき・息切れ・発熱)
頻度は高くないものの、間質性肺炎の報告があります。
乾いたせきが続く、息切れがする、発熱があるといった症状が現れた場合は、服用を中止して速やかに医療機関を受診してください。
風邪と見分けにくいため、服用中に呼吸器症状が出たときは注意が必要です。
重大な副作用③:肝機能障害(倦怠感・黄疸)
まれに肝機能障害が生じることがあります。
強い倦怠感、食欲の著しい低下、皮膚や白目が黄色くなる黄疸などが現れた場合は、服用を中止して医師に相談してください。
症状が出始めた時期と服用開始時期を医師へ伝えると、診察がスムーズに進みます。
一時的な不調と副作用の違いは?判断基準
副作用の種類によって、対応の緊急度は異なります。
以下の表は一般的な目安として参考にしてください。
| 症状の種類 | 対応の目安 |
|---|---|
| 消化器症状(軽度) | 1〜2週間様子を見て、改善しなければ相談 |
| 偽アルドステロン症 | 症状に気づいたら早めに医師へ相談 |
| 間質性肺炎 | 服用を中止し、速やかに医療機関へ |
| 肝機能障害 | 服用を中止し、速やかに医療機関へ |
軽い消化器症状と重大な副作用は、どちらも「不快感」として現れることがあるため混同されやすいです。
「いつもと違う」と感じる症状が出たときは、自己判断せず薬剤師や医師に確認することが大切です。
補中益気湯が合わない人について

補中益気湯は虚証(体力が低下し、疲れやすく食欲がない状態)に向きやすい処方ですが、体質や服用状況によっては向かないケースもあります。
自分に合うかどうかは、医師や薬剤師に相談したうえで判断することが基本です。
実証の人には逆効果になる可能性あり

漢方では、処方と体質の組み合わせが重要とされています。
補中益気湯は虚証の方に向きやすい一方、体力が比較的ある方(実証)や、熱がこもりやすい体質の方には合いにくいことがあります。
また、胃腸の不快感が強くなる、のぼせやすくなるといった反応が出ることもあります。
「飲んでから明らかに体調が悪化した」と感じる場合は、体質との相性について医師に相談する目安になります。
高齢者・妊婦・授乳中の方
高齢者は甘草による偽アルドステロン症のリスクが高まりやすいとされており、定期的な経過観察が望ましいとされています。
妊婦・授乳中の方については、安全性が十分に確立されていないため、服用前に必ず医師または薬剤師に相談してください。
自己判断での開始は避けることが大切です。
飲み合わせに注意が必要な薬・サプリメント
補中益気湯に含まれる甘草は、他の漢方薬や市販薬にも広く含まれています。
複数の甘草含有製剤を同時に服用すると、甘草の成分(グリチルリチン酸)が過剰になり、偽アルドステロン症のリスクが高まります。
以下の組み合わせには特に注意が必要です。
| 注意が必要な組み合わせ | リスクの内容 |
|---|---|
| 甘草を含む他の漢方薬 (葛根湯・小柴胡湯など) | 甘草の重複摂取による偽アルドステロン症 |
| 甘草含有の市販薬 (胃腸薬・かぜ薬など) | 同上 |
| 利尿薬・降圧薬を服用中の方 | 電解質バランスへの影響が出やすい場合がある |
現在服用中の薬やサプリメントがある場合は、処方を受ける際に医師・薬剤師へ必ず伝えるようにしてください。
補中益気湯の正しい飲み方

補中益気湯の顆粒・細粒は、製品や処方内容によって異なりますが、一般的に1日2〜3回、食前または食間に服用します。
タイミングや飲み忘れへの対応、やめどきの判断など、服用中に生じやすい疑問をここで整理します。
基本的な服用タイミング
食前(食事の30分前)または食間(食後2時間前後)が基本の服用タイミングです。
たとえばツムラの補中益気湯では、一般用医薬品において1日2回・食前の用法が示されています。
| 年齢 | 1回量 | 1日服用回数 |
|---|---|---|
| 成人(15歳以上) | 1包(1.875g) | 2回 |
| 7歳以上15歳未満 | 2/3包 | |
| 4歳以上7歳未満 | 1/2包 | |
| 2歳以上4歳未満 | 1/3包 | |
| 2歳未満 | 服用しないでください | |
空腹に近い状態で飲むことで、生薬の成分が吸収されやすくなると考えられています。
胃腸が弱くて空腹時に飲みにくい場合は、食後に服用することもあります。
飲み忘れたときはまとめて飲まない
飲み忘れに気づいたときは、気づいた時点で1回分を服用し、次の服用まで時間が短い場合はその回をとばすのが一般的な対応です。
2回分をまとめて飲むことは避けてください。
| よくある疑問 | 基本的な対応の目安 |
|---|---|
| 飲み忘れた | 気づいた時点で1回分を服用。 次回が近ければスキップ |
| 2回分まとめて飲んでよいか | 避ける。用量を守ることが基本 |
| いつまで飲み続けるか | 症状や体調をみて医師と相談して判断する |
| 長期服用は問題ないか | 甘草の累積摂取に注意。 定期的に医師へ経過を報告する |
効果が実感できない場合、飲み続けてよいか
漢方薬は一般的に、効果を実感するまでに数週間かかることがあります。
ただし、1か月程度服用しても変化がない、または体調がむしろ悪化していると感じる場合は、処方が体質に合っていない可能性も考えられます。
効果が出るまでの期間は個人差があるため、「飲み続けてよいか」は担当の医師や薬剤師に相談しながら判断するのが安全です。
こんな症状が出たら受診を!副作用サインの見逃し防止チェックリスト

補中益気湯の服用中に現れる症状のすべてが副作用とは限りませんが、中には早めに医療機関へ相談すべきサインがあります。
「様子を見ていてよいか」「すぐ受診すべきか」の判断基準を、症状ごとに整理しました。
すぐに医療機関へ相談すべき症状
以下の症状が現れた場合は、服用を中止して速やかに医師へ相談してください。
いずれも重大な副作用と関連している可能性があります。
| こんな症状が出たら | 疑われる副作用 |
|---|---|
| 手足のむくみ・体重増加・ 血圧上昇・筋力低下 | 偽アルドステロン症 |
| 乾いたせき・息切れ・ 発熱が続く | 間質性肺炎 |
| 強い倦怠感・食欲の著しい低下・ 黄疸(皮膚・白目が黄色い) | 肝機能障害 |
| 皮膚のかゆみ・発疹・ じんましん | アレルギー反応 |
受診の際は、補中益気湯を服用していること・いつから飲み始めたか・症状が出始めた時期を医師に伝えると、診察がスムーズに進みます。
市販品(一般用)と医療用で迷ったときに確認すること
補中益気湯には、医師が処方する医療用(処方箋医薬品)と、ドラッグストアなどで購入できる一般用(OTC)があります。
含まれる生薬の構成は基本的に同じですが、配合量や用量が異なる場合があります。
すでに他の薬を服用中の方・高血圧や持病がある方・妊婦や高齢者の方は、市販品であっても購入前に薬剤師に相談することが望ましいです。
特に甘草を含む他の漢方薬や市販薬を使っている場合は、重複の有無を確認してから使用してください。
補中益気湯に関するよくある質問

子どもや高齢者でも服用できますか?
子どもへの使用は、年齢や体重に応じた用量の調整が必要です。
自己判断で服用させるのは避け、必ず小児科や漢方を扱う医師に相談してください。
高齢の方では、補中益気湯が処方されるケースもありますが、甘草による偽アルドステロン症のリスクに注意が必要です。
定期的に経過を医師へ報告しながら服用することが大切です。
自律神経の乱れ・病後の体力低下にも使えますか?
補中益気湯は、病後の体力低下や倦怠感、食欲不振を背景とした不調に対して処方されることがあります。
自律神経の乱れによる症状との関連で処方されるケースもありますが、あくまで体質や症状の状態に合っているかどうかが前提です。
「疲れやすい」「なんとなく体調が回復しない」といった症状で検討する場合も、自己判断での開始より、医師による診断・処方を経ることが治療の基本となります。
補中益気湯の副作用・飲み方で迷ったときの判断ポイント

補中益気湯は虚弱体質や体力低下に向きやすい漢方薬ですが、甘草含有による偽アルドステロン症をはじめ、間質性肺炎・肝機能障害といった副作用が起こりえます。
■主な副作用
発疹・発赤、かゆみ、胃部不快感、食欲不振
■重大な副作用
- 間質性肺炎
- 息切れがする・息苦しくなる、空せき、発熱等
- 偽アルドステロン症(頻度不明)
- 低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加など
- ミオパチー(頻度不明)
- 脱力感、四肢痙攣・麻痺などの異常
- 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
- AST、ALT、Al-P、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸
服用中に「いつもと違う」と感じる症状が現れた場合は、自己判断で続けず、早めに医師または薬剤師に相談することが最優先です。
市販品を使う場合も、他に服用中の薬との重複がないかを薬剤師に確認してから使用することをおすすめします。
この記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の治療方針は担当医の指示に従ってください。
